無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

「花影」S1 60mm f2.2の距離計調整

2022.4.14

 花影 60mmは少し前にピントを出しています。そのことがタンバールへのオマージュ「花影」S1 60mm f2.2で説明されています。以下再掲します。

 ソフト・フォーカスレンズの効果の出し方は、主に球面収差を利用します。これに色収差も足すことがあります。タンバールは、色収差はほとんど補正しています。おそらくこの頃にカラーフィルムが広まってきたからだと思います。球面収差のみ利用して効果を得ています。タンバールはプラス3に過剰補正を掛けています。おそらくその量は絞りを一段絞ったあたりで決めています。周辺の光の状態など環境でソフト量も変わるので、常にベストな位置はありませんが、一段絞った付近の前後で程よい効果が得られるように配慮しています。もしこれを開放で大きなソフト効果を得る方向で撮影する場合、非常に多くの収差を以て効果を得ているのですから焦点移動があります。下に掲載してありますのは球面収差図ですが、絞り開放の場合左図のようにずれます。このずれは撮影するものの距離を近づけるとより露になります。使うのは主にf2.8以下ですから0.75ぐらいの高度の部分になりますけれども、それでも一定量ずれています。これはどうしようもないので本物のタンバールもこの問題はあります。それで光学部全体を1mm前に出したのが中央の図で、f2.8付近でピントはしっかり合います。しかしf4以上絞り込んでいくとピントは合いません。ただタンバールの場合は90mmなのでもう少し穏やかです。光学部をさらに1mm前進させると右図になりあまり使わないであろう開放付近でピントが来ます。花影S1は図中央にしてあります。ですからピンが若干前になります。それでもライカの場合は距離計を信用して撮って欲しいと思います。そうでないと画全体にソフトがかからないからです。液晶で確認しながら撮る場合もそのあたりを参考にしていただいて匙加減を調整して下さい。しかしこのピントが前に来るのが嫌だという人も少なからずいらっしゃいます。この問題はライカの距離計を使わない場合は関係ありません。

花影S1 球面収差図
花影 S1の球面収差図

 これを左図に合わせる方法が、製造会社の木下工学研究所から送られてきました。

 要点を説明しますと、まずマウントを外します。その時、外すだけで回したりはしません。現状を変えずにマウントだけ外して戻します。戻す時にスペーサー黒を抜きます。これだけです。ネジを壊してしまったりすると大変なので、不安がある場合は近所の時計修理工などに頼んで下さい。

 ですが、スペーサーを両方外してもまだ少し足りません。あまり設計値からずれると他に問題が出るので推奨できません。せいぜい0.1mmを外すぐらいでお願いしたいです。


 1)マウントのネジを外す
 固定ネジが”皿ネジ”なので製品によってはきつくて緩まない可能性もございます。上手く外れた場合はマウントとマウント内部の真鍮部品との位置関係は動かさないで下さい(寸法管理されています)。
花影S1 距離計調整 マウントを外す

2)マウント裏側のスペーサーを確認
 マウントの裏側に黒色(樹脂です)と銅褐色のスペーサーが各1枚入っていると思います(だれかが改造していたりするとこの限りではありません)。(黒い方が0.1mm、銅色の方が0.5mmです)。この0.1mmの方を抜く、もしくは足すとバックの位置が変化します。
花影S1 距離計調整 スペーサーを外す

3)元に戻す
 マウント内部の真鍮部品に切り欠きがありますので、レンズ本体の出っ張りを合せてからネジ穴を上手く合わせてネジで固定して下さい。
花影S1 距離計調整 切り欠きを合わせる

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