無一居

写真レンズの復刻「むいちきょ」
紀元2012年1月創業

過去の名玉の復刻

 光学設計は芸術です。多くのものが作られてきたことで、魅力あるレンズとは何かということがはっきりしてきています。何を以て傑作とするのかも明確になっています。過去の知見が反映されて現代に活かされています。さらに特定の表現に特化する条件を加えた場合、また別の結果が導き出されます。例えばマクロならこれが良いというのがはっきりしています。キノ(映画)なら大きく2つの系統があります。多数のレンズを所有している場合、自然と多用してしまうレンズ、それは傑作です。そういうものでないと作る意味がない、世の中にはもうたくさんあるのですから。そういう玉を生産します。

 基本的にライカL39スクリューマウントで作ります。すべて手動マニュアル操作です。当初は中国で作ることで進めていたのですが、問題多数で結局東京で製造しております。

院落P1は製造個数が少なく、間も無く売り切れましたので、中古でも入手したいという方のご連絡を時々いただきます。不要となりましたらお引き取り致しますのでご連絡下さい。

 次はおそらくアンジェニュー M1 50mmになります。f0.95にて、暗角の問題も光学設計変更なしでクリアできそうです。G1在庫減少を以て製造を検討します。



ハリウッド標準 スピード・パンクロ
「香箋」G1 50mm f2

詳細  小店での作例 お寄せ頂いた作品  2022.09.25

 設計されて90年以上になるのですが、ハリウッドで多用され、現代でも本家の英クックが製造している傑作です。ですが、映画テレビ局用のマウントしか出ていません。それに、我々が欲しいのは第一世代の設計、写真で使っても素晴らしいのでライカマウントで作ることにしました。特許でデータが出ているのでそのまま作ります。オリジナルは映画用の画角に絞っているので、本作ではガラスの直径を大きくして暗角が出ないようにしています。光学設計は変えていません。またオリジナルは描写が黄変してしまう、粒子感も出るし、もう古いのではないかと、新しいガラスでは本作がなぜ傑作とされているのかよくわかります。

香箋 G1 50mm f2
無一居 院落P1で香箋G1をライカM9にて撮影

香箋 G1 50mm f2 195,000円
製造数:50

 スピード・パンクロの特徴は、キノ(映画)に求められる全ての収差が含められているにも関わらず、それらがどれ1つとして出過ぎていないことです。全ては確かに認められるのですが、潜在的に表れます。「優れたレンズが欲しいが味も欲しい」というかなり矛盾した要求があった場合の英国人、世界のスポーツのルールのほとんどを規定し、衣服の標準を整理し、世界の秩序を設計した、ルールを作るということにかけては世界で最も才能がある英国人がレンズをも規定したらどうなるか、それがスピード・パンクロとスーパー・シックスであり、これらの結論以上のものは以降設計されていません。

香箋G1 帝国劇場
銀座の古いビル 帝国劇場 f2 ライカM9(アプリ読込デジタル処理等一切無し)

香箋G1 岩瀬博美商店
銀座の古いビル 岩瀬博美商店 f2 ライカM9(アプリ読込デジタル処理等一切無し)

香箋G1 メゾン アンリ・シャルパンティエ
銀座の古いビル メゾン アンリ・シャルパンティエ f2 ライカM9(アプリ読込デジタル処理等一切無し)



タンバールへのオマージュ
「花影」S1 60mm f2.2

経緯と詳細 小店での作例 お寄せ頂いた作品 2014.07.13完成

 ライカ・タンバールと同じような特性のレンズを60mm(厳密には58mm)に変えて作りたいということで開発しました。キノ(映画)用の収差が入っていますので扱いやすい玉ではありません。発色がこれだけ艶やかに表現するものは他にないでしょう。国産のミラーレスでは艶やかな色はなかなか出せないのですが(進歩もしてくるとは思いますが)、デジタル処理で色を加えるのと、元からあるものを引き出すのでは違うので、デジタルで調整した時に着色とは違う良さが感じられると思います。

花影S1 花影S1a
 ライカ L39距離計連動です。ゴールド(Nr.70-99)は真鍮剥出しのもので酸化が進むと色が濃くなってきます(既に濃い黄色になっております)。ブラック焼き付け(Nr.20-69)は弱く、角が剥がれやすい仕様でオーダーしていますので、角を磨いて真鍮地を出すなどして使うこともできます。ブラックのみガラスコーティング無しのモデル(Nr.01-19)もあります(モノクロ撮影はコート無しが良いと思います)売切。製造は100本のみで追加生産はありません。重量は360gです。

花影 S1 60mm f2.2 125,000円

製造数:100 真鍮剥出(金)のみ在庫有り
 本レンズは評価が賛否大きく別れています。傑作といっていただき複数本収蔵する方もおられれば、使えない駄作だと言われる方もいます。作例は多数掲載していますのでしっかり見てからご選択いただきますようお願いします。光学の歴史上、最もゴージャスで貴族的な玉ですが、使いこなしは容易ではない、ビューファインダーで撮るから難しいのかもしれません。ライカであれば枠しかわからない、その方が撮りやすい、これは全てのレンズに言えると思います。

花影S1 モノクロフィルム 二胡を拉くShibaten
北京新街口界隈 Shibatenさん f2.5 ライカM3 ネオパン ガラスコーティング無(北京のプロラボでスキャン)

花影S1 花
東京麻布十番界隈 花 f2.5 ライカM9 ガラスコーティング無(アプリ読込デジタル処理等一切無し)

花影S1 街灯
東京麻布十番界隈 街灯 f2.5 ライカM9 ガラスコーティング無(アプリ読込デジタル処理等一切無し)

花影S1 桜
f5.6 ライカM9 ガラスコーティング無(アプリ読込デジタル処理等一切無し)


ライカ タンバールの復刻
2016年、ライカ社がズマロン28mmf5.6を復刻しましたが、2017年はタンバールでした。



富岡光学レンズの復刻
小店が製造をお願いしている東京の木下光学研究所さんも旧・富岡光学時代の古い設計のレンズを復刻しています。




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