過去の名玉の復刻
光学設計は芸術です。多くのものが作られてきたことで、魅力あるレンズとは何かということがはっきりしてきています。何を以て傑作とするのかも明確になっています。過去の知見が反映されて現代に活かされています。さらに特定の表現に特化する条件を加えた場合、また別の結果が導き出されます。例えばマクロならこれが良いというのがはっきりしています。キノ(映画)なら大きく2つの系統があります。多数のレンズを所有している場合、自然と多用してしまうレンズ、それは傑作です。そういうものでないと作る意味がない、世の中にはもうたくさんあるのですから。そういう玉を生産します。
基本的にライカL39スクリューマウントで作ります。すべて手動マニュアル操作です。当初は中国で作ることで進めていたのですが、問題多数で結局東京で製造しております。
院落P1は製造個数が少なく、間も無く売り切れましたので、中古でも入手したいという方のご連絡を時々いただきます。不要となりましたらお引き取り致しますのでご連絡下さい。
次はおそらくアンジェニュー M1 50mmになります。f0.95にて、暗角の問題も光学設計変更なしでクリアできそうです。G1在庫減少を以て製造を検討します。
設計されて90年以上になるのですが、ハリウッドで多用され、現代でも本家の英クックが製造している傑作です。ですが、映画テレビ局用のマウントしか出ていません。それに、我々が欲しいのは第一世代の設計、写真で使っても素晴らしいのでライカマウントで作ることにしました。特許でデータが出ているのでそのまま作ります。オリジナルは映画用の画角に絞っているので、本作ではガラスの直径を大きくして暗角が出ないようにしています。光学設計は変えていません。またオリジナルは描写が黄変してしまう、粒子感も出るし、もう古いのではないかと、新しいガラスでは本作がなぜ傑作とされているのかよくわかります。
無一居 院落P1で香箋G1をライカM9にて撮影
ライカ・タンバールと同じような特性のレンズを60mm(厳密には58mm)に変えて作りたいということで開発しました。キノ(映画)用の収差が入っていますので扱いやすい玉ではありません。発色がこれだけ艶やかに表現するものは他にないでしょう。国産のミラーレスでは艶やかな色はなかなか出せないのですが(進歩もしてくるとは思いますが)、デジタル処理で色を加えるのと、元からあるものを引き出すのでは違うので、デジタルで調整した時に着色とは違う良さが感じられると思います。
ライカ L39距離計連動です。ゴールド(Nr.70-99)は真鍮剥出しのもので酸化が進むと色が濃くなってきます(既に濃い黄色になっております)。ブラック焼き付け(Nr.20-69)は弱く、角が剥がれやすい仕様でオーダーしていますので、角を磨いて真鍮地を出すなどして使うこともできます。ブラックのみガラスコーティング無しのモデル(Nr.01-19)もあります(モノクロ撮影はコート無しが良いと思います)売切。製造は100本のみで追加生産はありません。重量は360gです。
小店が製造をお願いしている東京の木下光学研究所さんも旧・富岡光学時代の古い設計のレンズを復刻しています。